この記事でわかること
- 施工管理の会社が転職回数に置く線は、「年齢÷10社まで」から「管理職は5回未満」まで会社ごとに違う
- 回数の数字と並んで、短い離職が続いていないかと、辞めた理由の筋が読まれている
- 職務経歴書には会社ごとに退職理由を1行添え、次の会社は前の退職理由が解消されるかで選ぶ
施工管理として何社か渡ってきて、職務経歴書に会社名を並べると自分でも多く見える。この記事は、転職回数が多いことで次の応募をためらっている施工管理の人に向けて書いています。
採用担当の方に話を聞くと、転職回数をまったく気にしない会社はほとんどありません。ただ、線の位置はまるで違います。「年齢÷10社まで」という会社があり、「20代で5回以上だと書類で見送る可能性が高い」という会社があり、回数だけでなく理由も見るという会社もありました。
回数と並んで、短い離職が続いていないかや辞めた理由を見る会社もあります。13社のうち、東京・大阪・四国の空調管工事の設備会社、兵庫・加古川の木造住宅会社、東京西部のアパート建設会社がそうでした。この記事では、施工管理の採用担当から直接聞いた13社の線引きを一覧にしたうえで、自分の回数の数え方、職務経歴書と面接での伝え方、次の転職で回数を増やさない会社の選び方を扱います。
「この回数で、まだ応募していいのか」。そう迷っている方は、目を通してみてください。
年齢から線を決める会社では、35歳なら3社まで。社数か回数かで1つずれる
年齢をもとに転職回数の線を決める会社があります。その数字が会社の数を指すのか転職の回数を指すのかで、許される転職は1回変わります。
「年齢÷10社」の会社は、長く勤める前提で人を採っている
関西と福岡でRC造の設計施工を手がけるハウス系グループの採用担当は、転職回数の目安を「年齢÷10」社までと話していました。35歳なら3社です。新卒採用が中心で、中途採用は厳選している会社です。
厳しいのには理由があります。プロジェクトのたびに引っ越すような働き方をしない会社で、長く勤めてもらう前提で人を採っています。退職金は確定給付型で、5年勤めないと出ません。すぐ辞めそうな経歴は、この制度とかみ合いません。
「社」で数えるか「回」で数えるかで、1つずれる
「◯社まで」は新卒で入った会社も含めて在籍した会社の数を指していて、転職した回数はそこから1を引いた数になります。
一方、大阪と東京で工場や倉庫などのS造を手がける建設会社は、「転職回数5回未満」のように転職の回数で線を引いていました。言い方が違えば、同じ数字でも意味が変わります。たとえば「3社まで」なら転職は2回まで、「3回まで」なら転職は3回までです。
35歳の例で考えます。新卒の会社を含めて4社に勤めた人は、社数で数えると4社で、「年齢÷10社」の3社を1つ超えます。回数で数えると3回です。自分の経歴は両方の数え方で控えておき、面接や求人で言われた数字がどちらの意味なのかを確かめてください。
若手ほど線は厳しく、管理職の線は広い
S造の建設会社は、メンバー層には3回未満、管理職には5回未満という基準を書類選考に置いていました。採用担当が話していた目安では、メンバー層は20〜30代、管理職は40〜55歳です。ただし管理職には、一級建築施工管理技士の資格と、S造と改修の両方の経験が必須です。線が広い分、条件は重くなります。
東京・板橋でマンションの大規模修繕を手がける会社は、20代で5回以上ある場合は書類選考で見送る可能性が高いと話していました。若いうちに短い間隔で会社を移っているほど、回数は重く読まれます。
施工管理の採用担当が引く線は、「年齢÷10社」から「管理職は5回未満」まで分かれる
数字で線を引く会社と、短期離職や辞めた理由を見る会社に分かれます。13社の採用担当から直接聞いた扱いを、社名を伏せ、エリアと事業内容で並べました。
| 会社(エリアと事業) | 転職回数・短期離職の扱い |
|---|---|
| 関西・福岡 RC造の設計施工(ハウス系グループ) | 年齢÷10社まで |
| 大阪・東京 工場や倉庫などS造の建設会社 | メンバー層は3回未満、管理職は5回未満 |
| 東京・板橋 マンションの大規模修繕 | 20代で5回以上は書類で見送る可能性が高い。理由も見る |
| 首都圏 ゼネコングループ | 回数に上限を置く。高いスキルがあれば例外として考える |
| 名古屋・東京・大阪 公共案件が中心の電気工事 | 回数の上限に厳しく、多いと書類で通らないことがある |
| 首都圏 地下工事に強い土木の建設会社 | 回数が多い経歴と休職歴を、推薦の前に確かめて絞る |
| 兵庫・加古川 木造住宅 | 回数と勤続年数を厳しめに見る。短期離職の繰り返しはマイナス。退職理由も考慮する |
| 全国出張 水道工事のインフラ系企業 | 転職した社数が多い経歴は、書類の段階で避ける傾向 |
| 奈良県内 建築の設計施工 | 定着を重く見ていて、回数が多い人は採用に至りにくい |
| 東京西部・神奈川・埼玉 アパート建設 | 短期離職の経歴を書類選考で警戒する |
| 東京・大阪・四国 空調管工事の設備会社 | 短期離職の繰り返しを、転職理由と直近の勤続年数で見極める |
| 東京23区 RC造の集合住宅 | 回数そのものより、理由に納得できるかを重く見る |
| 東京 SRC造の現場が中心の建設会社 | 回数は見るが、経験を重視するので決定的な理由にはしない |
具体的な数字の線を聞けたのは、「年齢÷10社まで」「メンバー層は3回未満、管理職は5回未満」「20代で5回以上は書類で見送る可能性が高い」の3社です。ほかの会社は、回数が多い経歴を書類の段階で避ける会社と、短期離職の有無や辞めた理由、経験の中身を見る会社に分かれました。
回数で線を引く会社は、面接の前に書類で決める
その線は、書類選考で使われます。S造の建設会社は回数の基準を書類選考に置いていて、板橋の大規模修繕の会社も、20代で5回以上なら書類の段階で見送る可能性が高いと話していました。公共の電気工事が中心の会社は回数の上限に厳しく、回数が多いと書類で通らないことがあります。地下工事に強い土木の会社は、回数が多い経歴を推薦の前に確かめています。
こうした会社では、面接で事情を話す機会が来る前に判断が終わってしまうので、回数に事情があるなら職務経歴書の時点で伝えておく必要があります。書き方は後の章で扱います。
理由を見る会社は、納得できるかで決める
都内でRC造の集合住宅を手がける会社は、回数そのものより、その理由に納得できるかを重く見ています。
空調管工事の設備会社は、短期離職を繰り返している経歴を、転職理由と直近の勤続年数で見極めています。板橋の大規模修繕の会社も、回数だけでなく理由も見ると話していました。こうした会社では、同じ回数でも理由によって結果が変わります。
経験を重く見るSRC造の会社は、回数を決め手にしない。ただし残業は月平均45時間
東京でSRC造の現場が中心の建設会社は、転職回数を見ないわけではないものの、経験を重視するので決定的な不採用の理由にはしないと話していました。年齢や国籍についても受け入れる幅が広い会社です。平均年齢は36歳で20代でも現場の所長を任せていて、年収は600万〜1200万円、25歳前後の若手経験者なら資格がなくても600万円から出しています。
残業は月平均45時間と、ほかの会社の話より多めです。回数で見送られにくいことと、長く勤められることは別なので、働き方の条件まで確かめてください。
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回数と並んで見られるのが、短い離職が続いていないか
13社のうち、短期離職や直近の勤続年数をはっきり挙げたのは、空調管工事の設備会社、加古川の木造住宅会社、東京西部のアパート建設会社の3社です。
短期離職は、繰り返しを見る会社と、経歴そのものを警戒する会社がある
設備会社は短期離職の繰り返しを、転職理由と直近の勤続年数で見極めています。加古川の木造住宅会社も、短期離職の繰り返しをマイナスに見ています。一方、東京西部のアパート建設会社は、短期離職の経歴そのものを書類の段階で警戒しています。
たとえば、3回転職して最後の会社に5年いる人と、1年未満の離職が2回続いている人とでは、同じ3回でも受け取られ方が変わる可能性があります。
国の統計も見ておきます。厚生労働省の「令和7年転職者実態調査」(2025年10月1日現在。常用労働者5人以上の事業所で働く一般労働者の転職者が対象で、個人調査の有効回答7,310人)では、次のとおりでした。
| 直前の会社にいた期間 | 転職者に占める割合 |
|---|---|
| 6か月未満 | 8.2% |
| 6か月以上1年未満 | 10.8% |
| 1年以上2年未満 | 13.8% |
| 2年以上5年未満 | 27.4% |
| 5年以上10年未満 | 19.3% |
| 10年以上 | 20.0% |
| 不明 | 0.7% |
全産業の転職者の数字で、施工管理だけを取り出したものではありません。それでも、1年未満で前の会社を辞めて転職した人が合わせて2割近くいることは読み取れます。1回なら珍しい経歴ではありません。ただ、東京西部のアパート建設会社のように、短期離職の経歴そのものを書類で警戒する会社もあります。設備会社や加古川の会社が重く見ているのは、短期離職が続いた場合です。
定着を重く見る会社は、長く勤める人を探している
奈良県内で設計施工を手がける会社は定着を重く見ていて、回数が多い人は採用に至りにくい会社です。加古川の木造住宅会社も、転職回数と勤続年数を厳しめに見ています。
関西・福岡のハウス系グループのように、退職金を5年勤続からにして、長く勤める前提で人を採っている会社もあります。腰を据えて働きたい人には、入ってから合う会社でもあります。厳しい線を、自分を締め出す壁とだけ受け取る必要はありません。
辞めた理由が前の会社のせいだけだと、納得されにくい
加古川の木造住宅会社は、回数を厳しめに見る一方で、前の会社の退職理由も考慮しています。理由の中身で判断が変わる余地があるということです。
編集部の見立てでは、納得されにくいのは、どの会社の退職理由も「会社が悪かった」で終わり、次に何を変えたいのかが出てこない経歴です。次の会社でも同じ理由で辞めると読まれやすくなります。
反対に、辞めた理由が事実で書かれ、それが次の会社で変えたいことにつながっていれば、その会社に応募した理由まで一緒に読み取ってもらえます。書き方の例は後の章に載せました。
回数が多くても選べる先は残る。建設業の事業所の7割が転職者を採る予定
回数が多い人にも選べる先は残っています。首都圏のゼネコングループは、転職回数に上限を置きながら、高いスキルがある人は例外として考える会社です。数字の線を持つ会社でも、経験しだいで扱いを変えるところがあります。前の章で見たSRC造の会社のように、回数より経験を重視する会社もあります。
国の調査でも、転職者を採ろうとしている建設業の事業所は多数派です。同じ「令和7年転職者実態調査」の事業所調査(常用労働者5人以上の事業所、有効回答9,154事業所)では、今後3年間に転職者を採用する予定がある事業所は、建設業で70.9%でした。全産業の63.6%より高い値です。
採用予定がある建設業の事業所のうち、「転職者を優先して採用したい」は46.9%、「新規学卒者を優先して採用したい」は9.6%でした。新卒を優先する事業所は1割に届きません。この調査は転職回数ごとの採用までは聞いていませんが、建設業で転職者を採る側が多いことは分かります。
KENSETSU-Xの掲載求人でも、施工管理系の求人は2026年9月18日時点で12,779件ありました。
転職回数が多い人の職務経歴書と面接は、退職理由を1社1行で揃える
数字で線を引く会社は書類で判断し、理由を見る会社は筋が通っているかを見ます。どちらの会社にも通じる伝え方を、書類と面接に分けて書きます。
職務経歴書には、会社ごとに退職理由を1行ずつ書く
回数を隠そうとしても、社名と在籍期間は並びます。隠すより、会社ごとに「在籍期間・担当した工事・辞めた理由」を1行で添えるほうが読まれ方が変わります。
書き方の例(架空の経歴)です。
- 2016年4月〜2019年3月 A社(RC造マンションの新築、工事担当)。退職理由:全国転勤が年1回以上あり、家族の事情で勤務地を固定したかった
- 2019年4月〜2020年2月 B社(木造住宅、現場監督)。退職理由:入社前の説明と違い、1人で同時に5現場を持つ体制だった
理由は事実と数字で書きます。「人間関係が合わなかった」より「同時に5現場を持つ体制だった」のほうが、次の会社で何を確かめればよいかが読む側にも伝わります。
経歴は、工事の種類でつながりを見せる
回数が多くても、同じ構造や同じ工種の経験が続いていれば、経験の中身で読んでもらいやすくなります。
空調管工事の設備会社は、プラントではなく設備の施工管理の経験者が欲しいと何度も念を押していました。どんな工事をやってきたかを、社数とは別に見ている会社です。
職務経歴書の冒頭に「RC造の新築を通算8年」のように、工事の種類ごとの通算年数を置いてください。社数より先に、経験の厚みが目に入ります。工事1件ずつの書き方と並べ方の見本は、施工管理の職務経歴書の書き方にあります。
面接で回数を聞かれたら、理由と次に変えたいことを続けて答える
面接で「転職が多いですね」と言われたら、次の順で答えます。
- 回数を認める
- 辞めた理由を1社ずつ短く、事実で話す
- 次の会社で何を変えたいかを言う
- だからこの会社を選んだ、とつなげる
たとえば、こう答えます。「4社目になります。2社目は1年たたずに辞めましたが、入社前に同時に持つ現場の数を確かめなかったのが原因でした。今回は担当する現場の数と勤務地を最初に確認したうえで、長く勤められる会社として応募しています」。
前の会社の悪口にはしません。自分が確かめなかったことを1つ認めると、次は同じことを繰り返さない人だと伝わります。
次で回数を増やさないために、辞めた理由から逆算して会社を選ぶ
説明が通っても、次の会社でまた短く辞めれば線はさらに近づきます。最後は次の会社の選び方です。
前の退職理由が、次の会社で解消されるかを確かめる
辞めた理由を書き出し、それが次の会社で変わるのかを応募の前に確かめます。
書き出した理由のうち、「同時に5現場を持つ体制」や「全国転勤」のように会社の体制で決まるものは、会社を選び直せば変わります。施工管理の仕事そのものに付いてくる理由だと、何社移っても同じ理由で辞めることになり、回数だけが増えます。自分の退職理由がどちらに近いか迷うなら、「施工管理がきついのは会社か職種か」で見分ける手順を紹介しています。
入社前に聞いておくと、入ってからのずれが小さくなること
面接では、直近の残業の実績、同時に持つ現場の数、転勤と出張の範囲を聞いてください。辞めた理由に近い項目ほど、数字で聞きます。休日や残業をどう切り出すか迷うなら、面接での逆質問の例も参考にしてください。
残業の実績は、会社によっては面接の場ですぐ出てこないこともあります。答えが出なかった項目は、内定の前に確かめます。
まとめ
転職回数の線は会社ごとに違います。「年齢÷10社まで」とする会社、メンバー層は3回未満で管理職は5回未満とする会社、20代で5回以上なら書類で見送る可能性が高いとする会社がありました。自分の経歴は、社数と回数の両方で数えてください。
書類で判断する会社にも、理由を見る会社にも通じるのは、会社ごとに退職理由を1行で添えた職務経歴書です。直近の会社に何年いたか、短い離職が続いていないかは、回数と並んで見られます。
次の会社は、前の退職理由が解消されるかどうかで選びます。そうすれば、同じ理由でまた辞める可能性は小さくなります。
回数の線は求人票には書かれていません。同じ工種の求人を並べて候補を絞ったら、担当者サポートつきの求人で、自分の回数で応募できるかを確かめてください。会員登録のときに職歴を1社ずつ入れておけば、その経歴を見たうえで声をかけてくる企業からのスカウトも届きます。
よくある質問
Q. 今の会社を1年もたたずに辞めたいのですが、回数が増えるのは不利になりますか
A. 1年未満の離職が1回あるだけで、応募できる先がなくなるわけではありません。国の調査でも、転職した人の2割近くは前の会社に1年いませんでした。ただ、短期離職の経歴そのものを書類で警戒する会社があり、短期離職の繰り返しをマイナスに見る会社もあります。辞めたい理由が次の会社で解消されるかを確かめ、次の会社を決めてから動くと、2回続けて短くなるのを防ぎやすくなります。
Q. 数か月で辞めた会社も、職務経歴書に書かないといけませんか
A. 書いてください。同じ年のうちに辞めた会社があれば、年末調整のために前の会社の源泉徴収票を出すのが一般的で、そこから勤め先が分かります。書かずにいて後から分かると、回数より経歴を偽ったことのほうが問題になります。短く辞めた会社こそ、退職理由を1行添えておくと読まれ方が変わります。
Q. 40代・50代で転職回数が多い場合はどう見られますか
A. 経験の長さや資格を条件に、回数の線を広げる会社があります。大阪と東京でS造の工場や倉庫を手がける建設会社は、メンバー層には3回未満、管理職には5回未満を書類選考の基準にしていました。採用担当が話していた管理職の目安は40〜55歳で、一級建築施工管理技士の資格と、S造と改修の両方の経験が条件です。回数の説明より先に、持っている資格と経験した工事の中身を職務経歴書の冒頭で示してください。
出典
- 厚生労働省 令和7(2025)年転職者実態調査の概況(2026年9月25日公表)
- KENSETSU-X 掲載求人の集計(2026年9月18日時点。施工管理系の掲載求人12,779件)
この記事の監修者

高谷 匠
TAKATANI TAKUMI
高谷 匠
TAKATANI TAKUMI
TEAM-X株式会社 取締役COO/一般社団法人建設技能者転職支援協会 代表理事
新卒でリクルートに入社し、採用コンサルティング会社HeaRのCOO、アイ・グリッド・ソリューションズのEV事業責任者を経て、2025年12月にTEAM-Xへ参画。会社全体の事業戦略と組織構築を統括している。
- 厚生労働大臣許可「建設業務有料職業紹介事業」(許可番号 27-ケ-30001。制度創設から約20年で全国4団体、近畿の団体としては初)を運営する一般社団法人建設技能者転職支援協会の代表理事
- TEAM-X株式会社 取締役COOとして、施工管理・職人の人材紹介から採用コンサルティング・RPOまでの事業戦略と組織構築を統括
- 新卒でリクルートに入社後、採用コンサルティング会社HeaRのCOO、アイ・グリッド・ソリューションズのEV事業責任者を歴任
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