この記事でわかること
- 求人票と労働条件の違いをめぐる申出は、ハローワークだけで年3,297件ある。多いのは賃金と就業時間
- 定時・出張・仕事内容の欄は実態より良く書かれていた例があり、年齢と年収の上限は選考の線より厳しく書かれていた例がある。資格の欄は、どちらの向きにもずれる
- 欄ごとに応募前と面接で確かめる質問と、内定後に求人票と労働条件通知書を並べる手順
求人票を何件か開くと、年間休日も残業も年収も、悪くない数字が並んでいます。けれど、いまの会社に入るときも、求人票には「定時退社」と書いてあった。この記事は、施工管理の求人票を見比べながら、書いてある条件をどこまで信じてよいか迷っている人に向けて書いています。
同じ迷いを持つ人は少なくありません。ハローワークには、求人票と労働条件が違うという申出が1年で3,297件寄せられています。採用担当から直接聞いた話でも、求人票に「17時定時退社」と書いたものの忙しくて定時に帰れておらず、担当者自身が「書いてしまって、どうしよう」と困っている会社がありました。
ただ、ずれは悪い向きにだけ起きるわけではありません。年齢の上限や年収の上限は、選考で引いている線より厳しく書かれていることがあります。条件だけを見て応募をやめると、通るはずの求人を自分で外すことになります。
この記事では、求人票の欄ごとに、直接聞いた例ではどちらの向きにずれていたのかを整理しました。KENSETSU-Xの掲載求人でどの欄がどれだけ書かれているかの集計と、応募前と面接で確かめる質問の表も用意しています。
「書いてある条件を、どこまで信じていいのか」。そう迷っている方は、目を通してみてください。
求人票と労働条件の違いは、ハローワークへの申出だけで年3,000件を超える
入社してみたら条件が違った、という話は運が悪かったで片づけられがちです。国の集計を見ると、毎年一定の数が起きていて、ずれやすい欄にも偏りがあります。
申出が多いのは賃金、就業時間、仕事の内容
厚生労働省の集計では、令和6年度にハローワークへ寄せられた、求人票の記載内容と労働条件の違いに関する申出・苦情は3,297件でした。前の年度の3,761件からは減っています。
内容別の上位は次のとおりです。1件の申出に複数の内容が含まれるときはそれぞれに数えているので、割合は申出の件数ではなく、内容を延べで数えた合計に対する比率です。
| 申出の内容 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 賃金 | 929件 | 20.2% |
| 就業時間 | 661件 | 14.4% |
| 職種・仕事の内容 | 591件 | 12.9% |
| 選考方法・応募書類 | 470件 | 10.2% |
| 休日 | 320件 | 7.0% |
| 雇用形態 | 274件 | 6.0% |
| 就業場所 | 207件 | 4.5% |
給与と勤務時間と仕事の中身。施工管理の転職で求人を見比べるとき、最初に目が行く欄が、そのまま上位に並んでいます。産業別では、建設業は208件でした。申し出た人の件数なので、ずれが起きた件数そのものではありません。
申出の要因では、「求人票の内容が実際と異なる」が1,478件、「求人者の説明不足」が932件でした。一方で「求職者の誤解」も364件あります。会社の書き方から起きるずれのほかに、読み方で防げるずれもあるということです。
ずれには、良く書かれる向きと厳しく書かれる向きがある
採用担当から直接聞いた話を欄ごとに並べると、ずれの向きは一方向ではありません。
| 求人票の欄 | 直接聞いた例でのずれの向き | 直接聞いた例 |
|---|---|---|
| 就業時間(定時) | 実態より良く書かれていた | 17時定時と書いたが、忙しくて帰れていない |
| 出張・転勤 | 実態より良く書かれていた | 転勤なしと書くが、現場ごとに半年〜1年の出張がある |
| 職種名・仕事内容 | 読み手の想像とずれていた | 施工管理の募集だが、本部でのデスクワークが中心 |
| 年齢 | 選考の線より厳しく書かれていた | 採用担当の話では、求人票の24〜39歳は目安で、40代以上も選考の対象 |
| 資格 | どちらの向きにもずれる | 資格不問と書くが選考では資格を見る会社と、1級中心でも2級や資格なしの人を面接する会社がある |
| 年収の上限 | 控えめに書かれていた | 公開している上限より高い額まで出せると考えている |
| 休日 | 制度の切り替え前で、時点がずれる | 完全週休2日制へ移る準備中で、届出が済むまで求人票を直せない |
実態より良く書かれることがある欄は、確かめてから信じる。選考の線より厳しく書かれることがある欄は、それだけを理由に応募をやめない。**この2つの構えで読めば、うのみにも見送りすぎもしなくなります。**欄ごとの読み方は、このあとの章で1つずつ扱います。
ずれは、書く人と現場の分離、求人サイトの書式、状況の変化から生まれる
会社が条件を偽ろうとしてずれる例ばかりではありません。直接聞いた話では、ずれの出どころは大きく3つでした。
1つ目は、求人票を書く人と現場を知る人が別にいることです。広島と大阪でマンションやレジデンスを手がける建設グループでは、求人票をホールディングスの人事部が管理していて、中身が薄くなっていました。窓口の担当者も、自社の求人票を細かいところまでは把握できていません。
2つ目は、求人サイトの書式です。北陸に本社を置いて商業施設を建てている会社は、転勤はないものの、1つの現場で半年から1年の出張があります。求人サイトの入力欄が「出張なし」「転勤なし」を前に出す作りになっていて、採用担当はどう書けばよいか迷っていました。
3つ目は、書いた時点から状況が変わること、または変わる途中にあることです。関東で公共工事を中心に手がける土木会社では、仕事が増えて17時の定時が守れなくなりました。埼玉で防水工事を手がける会社は、完全週休2日制へ移る準備を進めていますが、役所への届出と運用開始がまだのため、求人票を書き換えられずにいました。制度が切り替わる前後は、求人票の休日の欄がいつの時点の条件なのかを確かめる必要があります。
求人の情報は、正確で最新の内容に保つことが職業安定法第5条の4で決められています。ただ、現場の変化に原稿の更新が追いつかないことは起きます。
求人票は、他社と比べて目立つ条件を見出しや冒頭に出し、平均並みの条件は簡単に済ませることがあります。書き込みが少ない欄は、悪いから隠しているとは限りません。
掲載求人では、休日はほぼ全件に日数が書かれ、残業は書き方がばらつく
前の章で見たとおり、ずれの申出は給与と時間に集まっています。では、いま載っている求人票は、その欄をどう書いているのか。2026年9月18日時点で、KENSETSU-Xに載っている求人を数えました。
年間休日は、施工管理系の掲載求人のほぼすべてに書かれている
KENSETSU-Xの掲載求人のうち、施工管理系は12,779件ありました。そのうち年間休日の日数が読み取れたのは12,493件です。休日の日数は、ほとんどの求人に書かれています。
12,493件の中央値は120日でした。105日以上と書いている求人は90.1%にのぼります。数字だけなら、どこも休めそうに見えます。
ただ、これは会社が制度として書いた日数です。国土交通省の令和7年度の調査(2026年1月1日時点、令和6年12月以降に請け負った工事が対象。建設業法にもとづく届出団体116団体の会員企業2,024社が回答)では、技術者の休日が4週8休以上と答えた会社は38.5%でした。
90.1%は求人の件数に対する割合、38.5%は回答した会社の数に対する割合です。数えているものが違うので、引き算はできません。それでも、求人票に書かれた休みと、現場で取れている休みの間に差があることは読み取れます。休日の欄は、書いてあるかより、取れているかを聞く欄です。
休日の欄には「完全週休2日制」「週休2日制」「4週8休」の3つの書き方があり、同じ休みの多さを指しているとは限りません。3つの違いは『施工管理がきついのは会社か職種か。辞める前の見極め方』で整理しています。
残業は、求人ごとに書き方がばらつく
KENSETSU-Xの掲載求人のうち、担当者がついている「担当者サポートつき求人」(施工管理以外の職種も含む1,226件)では、残業について何か書いてあったのは1,045件でした。時間数まで読み取れたのは745件です。
745件(施工管理以外の職種も含む)の中央値は月27時間で、4分の3が月30時間以内に収まっています。これは求人票に書かれた数字で、実績ではありません。さきほどの国土交通省の調査では、技術者の月の平均残業が45時間以上と答えた会社は3.5%でした。2024年4月からは、建設業にも時間外労働の上限(原則として月45時間・年360時間)がかかっています。
もうひとつ、残業は平均で書かれます。繁忙期の山は、どこにも出てきません。関東の土木会社では、平均が月30時間程度でも、年度末と現場の完了前には50〜60時間になる人がいました。働き方の章で、もう一度この会社の話をします。みなし残業(固定残業)として書かれた時間数も、会社が設定した上限で、実績とは別のものです。時間数と基本給を分けて月給を比べる手順は、施工管理のみなし残業を解説した記事にまとめました。
月給は、下限と上限の両方を見る
給与の欄は、月給の下限と上限で書かれることが多い欄です。掲載求人のうち、建築施工管理で月給の下限が読み取れた5,137件では、下限の中央値が25.3万円、上限の中央値が40.0万円でした。土木施工管理の3,857件では、27.0万円と42.0万円です。どちらも賞与と手当を含まない金額です。
下限と上限の間のどこで入るかは、資格と経験で決まります。そこは紙の上からは読めません。確かめ方は給与欄の章で扱います。数字がある欄ほど、その数字が平均なのか、誰の金額なのかを確かめてください。
電話かLINEで30分。費用はかかりません。 会員登録をしておくと、条件に合う求人が届きます。
年齢・資格・経験の欄は、書かれた条件と選考で見る条件がずれる
数字の欄は、数字の意味を確かめれば読めます。数字にならない応募条件の欄は事情が違い、書かれた線と選考の線が食い違うことがあります。ここで読み違えると、応募そのものをやめてしまいます。
年齢の上限は、定年から来ているなら動かない
求人の募集では、原則として年齢を問わないことが法律で決まっています(労働施策総合推進法第9条)。年齢の上限を書けるのは例外にあたる場合だけです。例外にはいくつかの種類があり、たとえば次のようなものがあります。ここで挙げる3つは、どれも期間の定めのない雇用で募集することが条件です。
ひとつは、定年を上限にする場合です。たとえば定年が65歳の会社なら、65歳未満の人を募集できます。
2つ目は、若い人を長く育てる前提の募集です。この場合、会社には職業経験を問わないことと、新卒と同等の処遇とすることが求められます。新卒と同じような育成の体制や配置で育てる、という意味です。
3つ目は、技能やノウハウを引き継ぐために、特定の職種で人数が少ない年齢層に絞る募集です。30〜49歳のうち5〜10歳の幅で、その年齢層の人数が上下の年齢層の半分以下であることが条件です。この場合の線は、経験を問わない育成の枠とは別のもので、社内で手薄な年齢層を補うための線です。
定年の線は動きません。北海道で道路や河川、下水道の工事を手がける会社は定年が65歳で、経歴が良くても65歳の人は採用できないと話していました。
一方で、年齢の線が厳密ではなかった例もあります。関西でリフォームの事業部を立ち上げている建設会社の採用担当は、求人票に載せている24〜39歳は目安で、人柄と経験しだいで40代以上の人も選考の対象にしていると話していました。
**年齢欄の上限を超えていたら、まず定年から来る線かどうかを見てください。**定年の線なら動きません。それ以外の線なら、経験者として応募できるかを問い合わせてから判断しても、遅くありません。
「資格不問」でも、選考では資格と経験を見ている会社がある
資格の欄も、書かれたとおりの線とは限りません。
さきほどの北海道の土木会社は、求人票の応募条件を「高卒以上・基本的なパソコンのスキル」と幅広く書いています。選考では、資格と一定の経験で判断しています。20代で現場の経験がしっかりあれば、資格がなくても書類が通ることはある、という線の引き方です。
逆の会社もあります。東京と大阪で解体工事を中心に手がける建設会社は、1級を持つ人を中心に考えながらも資格を必須にせず、2級や技士補の人、資格のない経験者まで面接しています。解体の経験も問いません。
「資格不問」は入口を広く見せるための書き方のことがあり、逆に1級の人を求めている会社でも、それ以外の人を一律に外しているとは限りません。自分の資格と経験で書類が通る見込みがあるかは、問い合わせてみないと分かりません。
経験の欄は、年数より工事の種類で読む
経験の欄で見られるのは、年数より中身です。何年やったかより、どんな工事をやってきたかで、合う合わないが決まります。
川崎の中堅建設会社は、工場や事務所、倉庫、店舗といった住宅以外の建物の経験を実質的な条件にしているのに、集まる応募は住宅の経験者が中心で、かみ合わない状態が続いていました。
北陸に本社を置く商業施設の会社は、新築の経験がある人を求めています。リフォームや改修だけの経験、コンビニや小さなドラッグストアのような小規模な現場だけの経験だと、扱う規模の差で苦労します。
住宅のフランチャイズ本部は、資格は問いません。その代わり、注文住宅か木造の施工管理を3年以上という経験は、はっきり求めています。
経験の欄を読むときは、「建築」「土木」という大きな区分より一段細かく見てください。構造は木造・RC造・S造のどれか。住宅か、住宅以外か。新築か改修か。1件あたりの工事の規模はどのくらいか。この4つで自分の経験と照らし合わせると、書類の段階でのずれが減ります。
定時・出張・現場の持ち方は、求人票の言葉より中身で読む
年齢や年収の欄とは反対に、働き方の欄では、実態より良く書かれていた例がありました。「定時」「転勤なし」「施工管理」という言葉が同じでも、中身は会社によって違います。
「17時定時」は、人を増やしたい時期ほど崩れている
関東1都3県で公共工事を中心に手がける土木会社は、求人票に「17時定時退社」と書いていました。ところが仕事が増えました。いまは全員が手一杯で、定時には帰れていません。書いてしまった求人票をどうするか、採用担当自身が困っていました。
募集の理由は、その忙しさです。売りにしている定時と、人を探している理由が逆を向いています。
残業の中身は、聞けば分かります。平均は月30時間程度で、ここ3年ほど変わっていません。ただし公共工事は必ず検査が入るため、年度末の3月と現場の完了前には45時間を超え、50〜60時間になる人もいます。面接では「いまは忙しい」とはっきり伝えなければいけない、と採用担当は話していました。
定時の欄を見たら、面接で2つ聞いてください。今回の募集が増員なのか、辞めた人の補充なのか。そして、直近3か月の残業時間と繁忙期の残業時間です。増員なら、いまの現場は人が足りていない時期にあたります。
「出張なし・転勤なし」は、出張の長さと宿泊の扱いまで聞く
北陸に本社を置き、商業施設の新築を手がける会社には、転勤がありません。その代わり、プロジェクトごとに半年から1年の出張があります。大きな商業施設は土地を確保しやすい郊外や地方に建つことが多く、現場は関東から関西を中心に、全国に広がります。
求人サイトの書式は「出張なし」「転勤なし」を打ち出す作りで、採用担当はどう書けばよいか悩んでいました。転勤なしの欄だけを見て応募すると、入社後に1年近く家を離れることもありえます。
出張の条件は、悪いことばかりではありません。出張先の宿舎は全額会社負担で、北陸の本社に所属する人が北陸3県の外へ出張すると1日2,000〜4,000円の遠方手当が出るうえ、住民票を移さずに働けるので、実家に籍を置いたまま現場を移っていく働き方もできます。
関東の土木会社も同じです。転勤は原則ありません。ただ、下水道の経験がある人は、四国や中部など西日本の現場へ1か月ほど出張することがあります。
2024年4月からは、募集のときに「就業の場所の変更の範囲」を示すことが会社に求められるようになりました(厚生労働省)。将来の配置転換の見込みまで含めて書く決まりです。とはいえ、出張の頻度や長さまで求人票に書かれるとは限りません。
「転勤なし」を見たら、出張があるか、1回の長さ、宿泊先の費用、手当の4つを聞いてください。
同じ「施工管理」でも、現場の持ち方が違う
仕事内容の欄にある「施工管理」という言葉も、1つの働き方を指してはいません。
住宅のフランチャイズ本部が募集している施工管理経験者の仕事は、加盟店への施工のアドバイスと部材の管理です。「施工管理」で募集すると現場に常駐する仕事だと受け取られがちですが、中心は本部でのデスクワークで、全国の加盟店へ日帰りから1泊の出張が入ることもあります。
関西と東京に拠点を持ち、全国チェーン店の看板工事を請けている会社では、施工管理は現場に常駐せず、いくつもの現場の協力業者を離れた場所から管理します。工期は数日から1か月の単発が中心で、少人数の施工管理で全国を回しています。
どちらも、求人票の上では同じ「施工管理」です。
人数も違います。1つの現場を何人で見るかは、会社ごとに決め方があります。北陸の商業施設の会社は1現場3〜4人で、書類の負担を軽くして回しています。1級を持つ30代半ばの人が中途で入社したとき、「この人数でこの規模の建物を見られるのか」と感じたそうです。会社としては人数が少なすぎるとは考えておらず、書類の量の違いだと見ていました。
仕事内容の欄では、常駐か巡回か、1つの現場を何人で見るか、1人で何現場を持つか、工期はどのくらいかを確かめてください。
給与欄は、下限と上限のどこに入るかを先に確かめる
給与の欄は数字なので比べやすい。そのぶん、読み違いも起きます。ハローワークへの申出でも、賃金がいちばん多くなっていました。目の前の求人票に書かれた金額が何を指しているのかを、相場を調べる前に確かめます。年代や会社の規模ごとの金額は、施工管理の年収相場で見られます。
年収の上限は、誰を想定した金額か
関東の土木会社は、年収を550万〜700万円に設定しています。若い人に来てほしいので、あえてこのレンジにしているという話でした。部長クラスの経験者には、このレンジは合いません。
逆もあります。広島と大阪の建設グループは、求人票で公開している年収の上限より高い水準まで出せると考えていました。
上限は「この会社が払える最大の額」とは限りません。「この募集で想定している人の範囲」を表していることがあります。上に広いのか、上を抑えてあるのか。求人票だけでは分かりません。自分の経験と資格を伝えて、どのあたりで入れそうかを面接の前に聞いておけば、選考が進んでから金額が合わないと分かる事態を避けられます。
年収は、手当込みの額か基本給の額かを分ける
東京と大阪で解体工事を手がける会社では、未経験の人の年収の目安に住宅手当や家族手当、資格手当を含めておらず、手当はこれとは別に付きます。年収の欄の数字だけを見ても、手当が入った金額なのかどうかは読み取れないことがあります。
中身が違えば、比べる相手も変わります。基本給だけの金額か、手当を足した金額か、賞与まで含めた金額か。前の章で見た月給の集計値も、賞与と手当を含まない金額でした。2社の年収を比べるときは、同じ中身の金額どうしで並べてください。
内定のときに、求人票に書かれた幅の中から金額が決まることもあります。たとえば月給25万〜30万円と書かれていた条件が、内定時に28万円と決まるような場合です。こうして条件が具体的に決まったときも、会社にはその内容を示すことが求められています(職業安定法第5条の3)。
求人票の欄ごとに、確かめる質問を1つ用意する
ここまでの読み方を、応募前と面接で使える形にまとめます。全部を聞く必要はありません。気になる求人で、自分が迷っている欄の質問だけを選んでください。
応募前と面接で使うチェック表
| 求人票の欄 | 書かれ方のずれ | 確かめる質問 | 聞く時期 |
|---|---|---|---|
| 年間休日・休日 | 制度の日数で、取れている日数とは別 | 去年の有給の取得日数と、休日出勤の回数 | 面接 |
| 就業時間・残業 | 平均だけで、繁忙期の山は書かれない | 直近3か月と繁忙期の残業時間 | 面接 |
| 勤務地・出張 | 転勤なしでも出張がある | 出張の頻度と1回の長さ、宿泊費と手当 | 応募前 |
| 仕事内容 | 常駐か巡回かが分からない | 1人で持つ現場の数と、1現場の人数 | 面接 |
| 年齢 | 定年の線か、それ以外の線か | 経験者として応募できるか | 応募前 |
| 資格・経験 | 資格不問でも選考で見る会社と、必須でない会社がある | 自分の工事の種類と資格で書類が通る見込み | 応募前 |
| 給与 | 上限が誰の金額か、手当込みか | 自分の経験だとレンジのどこに入るか | 応募前〜1次面接 |
| 雇用形態・試用期間 | 試用期間の条件が別のことがある | 試用期間の長さと、その間の給与 | 面接 |
| 資格手当・取得支援 | 金額や対象の資格が書かれないことがある | 手当の月額と、受験費用の負担 | 面接 |
| 定着 | 求人票からは分からない | 直近3年で辞めた人の数と理由 | 面接 |
応募前に聞く欄は、求人サイトの問い合わせ窓口や、担当者がついている求人なら担当者を通して確かめられます。
同じ会社の求人が、求人サイトごとに違うことがある
同じ会社の求人が、いくつもの求人サイトに出ていることがあります。直接聞いた話では、関東の土木会社も北陸の商業施設の会社も、最新の内容が載っているのは特定の1つのサイトだけでした。ほかのサイトの原稿は、更新が追いついていないかもしれません。
見つけたら、更新日を比べます。新しいほうが基準です。内容が違う欄があれば、その欄をそのまま問い合わせれば済みます。
内定が出たら、労働条件通知書と求人票を並べる
募集のときに出た条件は、内定までに変わることがあります。変わったら、会社は変わった内容を示さなければなりません(職業安定法第5条の3)。厚生労働省は、通知書の変わった箇所に下線を引く、もとの条件と変わったあとの条件を並べた書面を渡す、といった方法を示しています。
労働契約を結ぶときには、労働基準法第15条にもとづいて、労働条件通知書などで条件が知らされます。**応募した求人票は保存しておき、通知書が届いたら欄ごとに照らしてください。**違う欄があれば、理由を聞いてかまいません。会社には、変えた理由を聞かれたら説明することが求められています。遠慮は要りません。
求人票が薄い会社を、条件が悪い会社と決めつけない
最後に、反対側の失敗にも触れておきます。情報が少ないことと、条件が悪いことは別の話です。
最初の章で触れた広島と大阪の建設グループは、求人票をホールディングスの人事部が管理していて、中身が薄くなっていました。それでも採用担当の話では、広島では地元の会社のなかでも福利厚生と休日がしっかりしているほうだそうです。給与欄の章で見たとおり、年収も公開している上限より高い水準まで出せると考えていました。
欄が足りないときは、「詳細は面談でお伝えします」と書いて条件の一部を別に示すこともできます。その場合も、原則として最初の面接などの時点までに、すべての条件を示すことになっています(厚生労働省)。空いている欄は、最初の面談で聞いてよい欄です。
工種と地域と経験が合う求人で、欄が空いているだけなら、外すのは問い合わせてからで間に合います。まず聞いてみる。判断はそのあとです。
まとめ
求人票に書かれているのは、会社が募集のときに出した条件の申告です。直接聞いた例では、定時・出張・仕事内容の欄は実態より良く書かれ、年齢と年収の上限は選考の線より厳しく書かれていました。資格の欄は、どちらの向きにもずれます。
- 定時・出張・仕事内容の欄は、面接で中身を聞くまで決めない
- 年齢と年収の上限は、それだけで自分を外さない
- 資格の欄は、自分の資格と工事の種類で書類が通るかを問い合わせる
- 数字のある欄は、平均なのか、誰の金額なのかを確かめる
- 内定が出たら、求人票と労働条件通知書を並べる
全部を一度にやる必要はありません。気になる求人を1つ選び、チェック表から自分が迷っている欄の質問を3つ書き出す。そこから始められます。
慣れてきたら、同じ工種で通える地域の求人を2〜3件そろえ、同じ質問を当ててみてください。どの欄がその会社だけの書き方なのかが分かります。KENSETSU-Xでは、施工管理の求人を工種と地域で絞って並べられます。
よくある質問
Q. 入社してから、求人票と条件が違うと気づいたらどうすればいいですか
A. まず、内定のときに受け取った労働条件通知書と求人票を並べて、どの欄がいつ変わったのかを確かめてください。内定までに条件が変わっていたなら、会社はその内容を示す必要がありました。通知書と入社後の働き方が違うなら、会社に理由を聞きます。ハローワークの求人に応募していた場合は、最寄りのハローワークか、厚生労働省のハローワーク求人ホットラインに申し出ることもできます。ハローワーク以外から応募した場合も、労働条件通知書と入社後の条件が違うときは、各都道府県の労働局や労働基準監督署の中にある総合労働相談コーナーに相談できます。
Q. 未経験向けの求人票も、同じ見方で読めばいいですか
A. 基本は同じですが、年齢の欄の意味が変わります。未経験向けの求人は、若い人を長く育てる前提の募集として、年齢の上限を書けることがあります。その場合、会社には経験を問わないことと、新卒と同等の処遇とすることが求められます。確かめるのは、年齢の欄より入社後の育て方です。誰が、どう教えるのか。東京と大阪で解体工事を手がける会社のように、入社後にまず学習の期間を設け、そのあと現場で指導を受けながら覚える期間を用意している会社もあります。
Q. 面接で残業や休日のことを聞くと、印象が悪くなりませんか
A. 聞き方を選べば、印象が悪くなるとは限りません。採用担当のなかにも、繁忙期の残業は面接で正直に伝えておく必要があると考えている人がいます。「直近3か月の平均と、繁忙期の残業時間を教えてください」のように数字で聞くと、相手も答えやすくなります。待遇の不満から入らず、仕事の進め方を知りたいという流れで聞くと角が立ちません。
出典
- 厚生労働省 令和6年度 ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数
- 厚生労働省 ハローワークの求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出
- 国土交通省 適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査(令和7年度)
- 厚生労働省 年齢にかかわりない募集・採用のために(例外事由と定年の例)
- 厚生労働省 年齢にかかわりない募集・採用のために(例外事由3号のイ・3号のロ)
- 厚生労働省 労働者を募集する企業の皆様へ(職業安定法の改正等)
- 厚生労働省 令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます
- 職業安定法第5条の3・第5条の4
- 労働施策総合推進法第9条
- 労働基準法第15条・第36条
- 厚生労働省 総合労働相談コーナーについて
- KENSETSU-X 掲載求人の集計(2026年9月18日時点。施工管理系の掲載求人12,779件のうち年間休日が読み取れた12,493件、担当者サポートつき求人1,226件(施工管理以外の職種を含む)のうち残業時間が数字で読み取れた745件、月給の下限が読み取れた建築施工管理5,137件・土木施工管理3,857件)
この記事の監修者

高谷 匠
TAKATANI TAKUMI
高谷 匠
TAKATANI TAKUMI
TEAM-X株式会社 取締役COO/一般社団法人建設技能者転職支援協会 代表理事
新卒でリクルートに入社し、採用コンサルティング会社HeaRのCOO、アイ・グリッド・ソリューションズのEV事業責任者を経て、2025年12月にTEAM-Xへ参画。会社全体の事業戦略と組織構築を統括している。
- 厚生労働大臣許可「建設業務有料職業紹介事業」(許可番号 27-ケ-30001。制度創設から約20年で全国4団体、近畿の団体としては初)を運営する一般社団法人建設技能者転職支援協会の代表理事
- TEAM-X株式会社 取締役COOとして、施工管理・職人の人材紹介から採用コンサルティング・RPOまでの事業戦略と組織構築を統括
- 新卒でリクルートに入社後、採用コンサルティング会社HeaRのCOO、アイ・グリッド・ソリューションズのEV事業責任者を歴任
この記事の内容と数字は監修者が確認しています。書き方と更新のルールは編集方針に書いています。