この記事でわかること
- 建築技術者の年収は、20代前半の約411万円から50代後半の約880万円まで年代で上がっていく
- 求人票の月給に入っていない賞与・手当・残業代と、その読み方
- 年収を変える4つの道と、面接で自分の入る金額を確かめる聞き方
給与明細を見て、同じ年の友人や前の職場の同期と比べてしまう。施工管理の年収は高いと聞くのに、自分の額がその中に入っているのかは分からない。求人票の年収も幅が広く、自分がどこに入るかまでは書いていません。この記事は、いまの年収が相場のどのあたりにあるかを確かめたい施工管理の人に向けて書いています。
国の統計では、建築技術者の平均年収は約679万円です。ただ、これはすべての年代を合わせた平均です。年代でも会社の規模でも、この額は大きく動きます。
この記事では、令和7年の統計から年代別と会社の規模別の表を作り、KENSETSU-Xの掲載求人から工種別の月給と年収レンジを並べました。求人票の月給に入っていない金額と、年収を変える4つの道もまとめています。
「自分の年収は低いのか、それとも相場どおりなのか」。そう思った方は、目を通してみてください。
施工管理の平均年収は、建築で約679万円、土木で約625万円
自分の年収と比べる前に、比べる相手の数字が何を数えたものかを確かめておきます。ここがずれると、表を見ても位置を読み違えます。
国の統計では、建築技術者と土木技術者に分かれている
国の統計で年収を調べるときは、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を使います。最新は、2026年3月24日に公表された令和7年の調査です。
この調査に「施工管理」という職種はありません。施工管理の人は「建築技術者」か「土木技術者」として数えられています。設計や積算の技術者も同じ分類なので、施工管理だけの平均ではありません。
| 項目 | 建築技術者 | 土木技術者 |
|---|---|---|
| 平均年齢 | 43.4歳 | 46.0歳 |
| 6月の月給(残業代込み) | 45.62万円 | 41.79万円 |
| うち残業代を除いた月給(所定内給与。手当を含む) | 40.75万円 | 38.41万円 |
| 前年1年間の賞与 | 131.61万円 | 123.47万円 |
| 年収に換算すると | 約679万円 | 約625万円 |
統計表には、年収の欄がありません。そこで、6月の月給を12倍して前年1年間の賞与を足し、年収に換算しました。6月の月給には残業代が入っているので、残業の多い人ほど高く出ます。
1年前の令和6年の調査を同じ式で換算すると、建築は約642万円、土木は約597万円でした。ネットでよく見かける641万円や596万円は、この1年前の調査と同じ水準の数字です。どちらも1年で上がっています。
全体の平均より、残業代を除いた月給が高い
同じ調査で、一般の労働者全体の残業代を除いた月給(所定内給与)は月34.06万円でした。平均年齢は44.4歳です。
建築技術者は40.75万円、土木技術者は38.41万円です。年齢の近い集団どうしで比べても、施工管理を含む技術者のほうが高い。年収どうしで比べていないのは、全体の年収にあたる値がこの調査の概況に載っていないためです。
給与が高い職種だという話は、平均で見れば数字と合っています。問題は中身です。その平均が、年代と会社で大きく動きます。
比べるのは、税金などを引く前の金額
自分の側の数字も、そろえておきます。
統計の金額は、所得税などを引く前の額です。給与明細なら総支給額を使い、差引支給額(手取り)とは比べません。残業代を除いた月給と比べるときは、給与明細の基本給の欄ではなく、総支給額から残業代を引いた額を使います。年収で比べるなら、源泉徴収票の「支払金額」が近い数字になります。
統計の年収は6月の月給をもとにしています。繁忙期と閑散期で残業が大きく違う人は、1か月分を12倍するより、1年間の合計で比べたほうがずれが小さくなります。
電気工事と管工事の施工管理は、国の統計で分けて出ていない
電気工事の施工管理は「電気・電子・電気通信技術者」に入ります。この分類には、メーカーで設計や開発をしている技術者も含まれます。管工事や設備の施工管理は、独立した分類がありません。
電気工事・管工事・設備の施工管理は、国の統計では施工管理だけの水準が出せません。後の章で、掲載求人の数字を使って補います。
年代別では、建築は50代後半まで上がり続ける
平均の約679万円は、すべての年代を合わせた平均です(集計された人の平均年齢は43.4歳)。40〜44歳だけで見ると建築は約747万円で、年代でこれだけずれます。20代の人が全体の平均と比べても、位置は分かりません。年代ごとに見ます。
年代別の年収(建築技術者・土木技術者)
同じ調査の年齢階級別の表から、平均年収の章と同じ式で年収に換算しました(令和7年、従業員10人以上の会社の合計)。
| 年齢 | 建築技術者 | 土木技術者 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 約411万円 | 約435万円 |
| 25〜29歳 | 約551万円 | 約555万円 |
| 30〜34歳 | 約636万円 | 約599万円 |
| 35〜39歳 | 約710万円 | 約668万円 |
| 40〜44歳 | 約747万円 | 約625万円 |
| 45〜49歳 | 約765万円 | 約686万円 |
| 50〜54歳 | 約808万円 | 約726万円 |
| 55〜59歳 | 約880万円 | 約735万円 |
| 60〜64歳 | 約743万円 | 約646万円 |
建築は年齢とともに上がり続けます。最も高いのは55〜59歳の約880万円で、60歳を過ぎると下がります。
土木は、40〜44歳でいったん下がって見えます。年代ごとに集計されている人が違うためです。1人の人が年をとるとこう動く、という表ではありません。この行だけを見て、土木は40代で年収が下がると読まないでください。
伸びが大きいのは20代のうちです。建築では20代前半の約411万円が20代後半で約551万円になり、30代前半で約636万円になります。この伸び方が会社によってどう違うかを、次に見ます。
20代は400万円台から500万円台。年齢で決めるか経験で決めるかで入口が変わる
採用担当から直接聞いた話で、20代の金額を確かめます。
都内でRC造のマンションを手がける建築会社は、20代の最低ラインを420万円、20代の一般的な経験者で500万円前後としています。名古屋周辺でグループ会社の施設を元請で手がける建設部門は、年収を年齢で決めていて、20代前半で約500万円です(賞与と手当を含む)。
千葉の建設会社は、土木の未経験者向けの求人票に330万〜500万円と書いています。それでも新卒の給与は下回らないように決めるため、入社時は400万円を超えます。
入社時の金額は、表の20代の行(約411万〜約555万円)とおおむね重なります。千葉の会社の330万円は求人票の下限で、入社時の金額ではありません。違うのは決め方です。年齢で金額を決める会社もあれば、経験で決める会社もあります。
30代の600万円は、1級を条件にする会社と年齢で上げる会社に分かれる
30代に入ると、決め方の違いが金額に出ます。
先ほどの都内のRC造の会社では、600万円を提示するには1級施工管理技士が必要です。給与を無理に上げず、資格に結びつけています。札幌などに拠点を持つ建設会社では、資格が社内の等級と年収に直結していて、2級も持っていないと下の等級に付き、年収が出ないと話していました。採用担当が話していた目安では、年齢が上がると求める資格の級も上がります。
一方で、名古屋の建設部門は年収を年齢で決めていて、30代手前で600万円超、30代半ばで約700万円です(賞与と手当を含む)。資格より年齢で金額が決まります。採用担当が話していた目安は35歳くらいまででした。募集や採用で年齢を制限することは労働施策総合推進法で原則禁止されているので、これは求人票の応募条件ではなく、会社が想定している年齢層の話です。
表の30〜34歳の約636万円は、こうした決め方の違う会社をまとめた平均です。いまの会社が年齢で決めているのか、資格で決めているのかで、30代の伸び方は変わります。
定年60歳でも、65歳まで給与を下げない会社がある
統計では、建築の60〜64歳は約743万円で、55〜59歳より下がります。ただ、60歳を過ぎて下がるかどうかは、定年後の条件の決め方で変わります。
札幌などに拠点を持つ先ほどの建設会社は定年が60歳ですが、65歳まで同じ条件で働けて、給与は下がらないと話していました。50代で移る先を選ぶなら、定年の年齢だけでなく、定年後に給与の決め方が変わるかまで確かめてください。
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会社の規模で、建築の平均年収は約585万円から約860万円(令和7年)まで分かれる
年代の次に年収を大きく動かすのは、勤めている会社の規模です。ただし、規模の大きい会社ほど残業も長くなっています。
規模別の年収と残業時間
同じ令和7年の調査を、会社の従業員数で分けて見ます。月の残業は、6月の超過実労働時間です。
| 会社の規模 | 建築技術者の年収 | 建築の月の残業 | 土木技術者の年収 | 土木の月の残業 |
|---|---|---|---|---|
| 1,000人以上 | 約860万円 | 23時間 | 約760万円 | 21時間 |
| 100〜999人 | 約659万円 | 23時間 | 約655万円 | 17時間 |
| 10〜99人 | 約585万円 | 10時間 | 約563万円 | 6時間 |
1,000人以上は、令和6年の同じ換算では建築で約727万円でした。年ごとの振れが大きい区分です。
建築では1,000人以上の会社の月の残業が23時間あり、10〜99人の会社の10時間より長いので、年収の差には残業代の差も入っています。
残業代を除いた月給(所定内給与)で見ても、建築の1,000人以上は月48.72万円、10〜99人は月37.42万円でした。差は残ります。平均年齢は1,000人以上が42.0歳、10〜99人が46.6歳で、大きい会社のほうが若いのに年収は高く出ています。
年収がすでに高い人の転職は、役職と手当で最初の年が下がることがある
年収がすでに高い人が、さらに上を目指して移るのは簡単ではありません。上がる額が小さければ、退職金が目減りする分を差し引いて、動かないほうが得になることもあります。
ゼネコンの中には、中途で入ると役職がいったんなくなり、一般職から始まる会社があります。役職に戻るまでに何年かかかるので、40代後半以降で入ると、同じ年代が昇格している中で出遅れます。
手当にも条件があります。現場に出ているときだけ付く作業所手当のような手当は、入社直後に内勤の期間がある会社だと、その間は付きません。転職した最初の年の年収が、聞いていた金額より下がる理由になります。
経験を積んだ30代から40代前半の人は、採用する側が欲しがる層です。それでも、中堅以上の会社から移るときは、年収が上がるとは限りません。
規模より先に見るのは、何を建てて、どの立場で関わるか
規模は転職で選べます。ただ、採用する側が見ているのは経験の中身です。
ゼネコンの中には、小さな規模の工事だけの経験では厳しいとして、もっと大きな工事の経験を求める会社があります。名古屋の建設部門は、住宅よりオフィスや施設など大きな建物の経験者を優先しています。
規模だけを変えても、経験の中身が伴わないと年収は上がりにくいということです。
年収を決めているのは、資格の等級と任される現場の規模
年代は自分では動かせません。会社の規模は転職で変えられますが、移った先でいくらで入るかを決めているのは、資格と、任されてきた現場の規模です。会社がこの2つを年収にどう結びつけているかを見ます。
資格手当より、資格で上がる等級が年収を動かす
資格を取ると、毎月の資格手当が付く会社があります。額は会社によって違います。
ただ、手当より、資格で上がる等級のほうが年収を大きく動かす会社もあります。年代の章で見た札幌などの建設会社では、資格がないと上の等級に上がれず、手当の額より等級の条件のほうが年収を左右します。
面接で聞くことは2つです。資格手当の額と、資格を取ったあとに等級と年収がどう変わるかです。
1,000万円を超えるのは、1級に加えて経験の中身と役職がそろったとき
1,000万円の求人には条件があります。
監修者の高谷は、RC造の経験と1級がそろうと、年収1,000万円を超える求人も出てくると見ています。RC造の経験者の市場価値が上がっているためです。千葉の建設会社のように、RC造の経験がない人を採って、入社後に経験を積ませる会社もあります。
関東でマンションの設備工事を請けるサブコンは、経験者に600万〜750万円を提示し、将来の役職によっては1,000万円を超えると説明しています。こうした先の年収は、求人票の給与の欄だけでは伝わりません。将来の役職と年収は、面接で聞いて初めて分かります。
1,000万円の求人が採用につながらなかった会社もある
上限は、会社の方針でどちらにも動きます。
都内のRC造の会社は、1,000万円程度の高年収の求人を出しましたが、採用につながらず募集を閉じました。いまは年収の上限を資格に結びつけ、無理に上げない方針です。
反対に、関東でRC造の建築を手がけるグループ会社は、求人票の年収が600万〜800万円で、上限の800万円では経験の厚い人を取り逃すとして、上限を1,000万円まで上げることを検討しています。
上限の金額だけを見て応募先を決めると、こうした動きに振り回されます。確かめるのは、自分の資格と経験ならどの等級で、いくらで入るかです。
求人票の月給は入口の金額。賞与は入っていない
求人票には、月給25万円からと書いてあることがよくあります。これを見て、施工管理の給与は安いと感じた人もいるはずです。ただ、求人票の月給は入社する人に示す入口の金額で、賞与は入っていません。
求人票の月給は下限25.3万円、上限40.0万円(建築施工管理)
KENSETSU-Xの掲載求人のうち、建築施工管理で月給の下限と上限が書かれていた5,137件を数えました(2026年9月18日時点)。中央値は、下限が25.3万円、上限が40.0万円です。下限の真ん中の半分は、22.3万〜30.0万円に収まります。
掲載求人の月給は、会社が入社する人に示す金額の幅です。数えているのも求人の件数で、働いている人ではありません。前の章までの統計の年収とは定義が違うので、並べて比べることはできません。
求人票の下限は、経験の浅い人や資格のない人が入るときの金額です。下限だけを見て、施工管理の給与は安いと判断しないでください。 また、ここに書かれた金額は会社が示した条件で、入社した人が受け取っている実績ではありません。自分が下限と上限のどこに入りそうかは、求人票の給与欄と年齢・資格の欄の読み方を読んでおくと見当をつけやすくなります。
工種別に見ると、月給の下限は土木が一番高い
同じ掲載求人を工種別に分けました(2026年9月18日時点)。月給は月給の下限と上限が書かれていた求人の中央値、年収レンジは年収のレンジが書かれていた求人の中央値です。
| 工種 | 月給の下限 | 月給の上限 | 月給の件数 | 年収レンジ | 年収の件数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 建築施工管理 | 25.3万円 | 40.0万円 | 5,137件 | 500万〜840万円 | 494件 |
| 土木施工管理 | 27.0万円 | 42.0万円 | 3,857件 | 500万〜740万円 | 124件 |
| 電気工事施工管理 | 25.0万円 | 37.0万円 | 1,007件 | 450万〜840万円 | 89件 |
| 管工事施工管理 | 23.5万円 | 35.4万円 | 976件 | 443万〜800万円 | 39件 |
| 設備施工管理 | 25.0万円 | 40.0万円 | 801件 | 500万〜745万円 | 91件 |
土木は、月給の下限も上限も5つの工種で一番高い。電気工事・管工事・設備は国の統計で施工管理だけの数字が出ないので、この表が目安になります。
注意が2つあります。月給の列と年収レンジの列は、もとになっている求人が違います。月給を12倍すると年収レンジになる、という関係ではありません。もう1つ、年収レンジは件数の少ない工種があります(管工事は39件)。おおよその目安として見てください。
求人票の月給の外にある金額:賞与・手当・残業代
月給の欄の外で年収を動かすのは、賞与と手当と残業代です。
統計では、建築技術者の前年1年間の賞与は131.61万円でした。月給の欄には、この金額が入っていません。賞与の額は、会社で大きく変わります。横浜・川崎で建築と土木を手がける会社は、社員が株を持つ形の会社で、賞与が6〜7か月分出ます。平均の勤続年数は16年です。
次に手当です。支給の条件まで見ないと、金額が読めません。関東の設備サブコンの住宅手当は月9万円ですが、世帯主で既婚の人だけが対象で、中途で入る独身の人が使える制度はありません。
最後が残業代で、払い方によって年収が変わります。名古屋の建設部門は固定残業制ではなく、残業手当と休日出勤手当が加算されます。平均の残業は月30時間ほどで、時期によっては60時間ほどまで増えます。月給に固定残業代が含まれている会社では、同じ月給でも中身が違ってきます。固定残業代の入った月給を基本給にそろえて比べる手順は、みなし残業つきの求人の月給の比べ方で説明しています。
面接では、前年の賞与が何か月分だったかと、手当の支給条件、残業代の計算の仕方を聞いてください。
年収は、資格・転職先・交渉で上げるか、下げて時間を取るかで変えられる
ここまでの表で、自分の年収の位置が見えてきたはずです。年収を変える道は4つあります。3つは年収を上げるか、提示額で損をしないための道で、4つ目は年収を下げて時間を取る道です。いまの会社に残ったままできるものもあります。
| 道 | 向いている状況 |
|---|---|
| いまの会社で資格を取り、等級を上げる | 社内で資格と等級の関係が決まっているとき |
| 同じ工種で、規模か立場の違う会社に移る | 同じ年代・同じ規模の平均より低いとき |
| 希望年収を最初に伝えて交渉する | 応募先が決まっていて、提示額がまだ出ていないとき |
| 年収を少し下げて、働き方を取る | 年収より時間を取り戻したいとき |
いまの会社で資格を取り、等級を上げる
転職を決める前に、いまの会社でできることがあります。用意するのは、社内の等級表と資格の扱いが分かる資料だけです。
資格を取ったら何等級に上がり、年収がいくらになるのか。これが社内で決まっているなら、資格を取るのがいちばん確実な道です。決まっていない、または聞いても答えが出ないなら、それも会社を比べる材料になります。資格取得の費用を会社が持つかどうかは、他社の求人票に書かれていることが多いので、並べて見られます。
同じ工種で、規模か立場の違う会社に移る
会社の規模の章で見たとおり、建築では10〜99人の会社が約585万円、100〜999人の会社が約659万円で、平均年収が違います。経験がそのまま評価される同じ工種のまま、会社の規模や立場を変える道です。
役職の扱いには注意が要ります。中途で入ると役職がいったんなくなる会社もあります。年収の額面だけでなく、入社後に何年で元の立場に戻れるかを聞いてください。
希望年収は最初に伝え、提示額とのずれを早めに埋める
年収の話を最後まで出さずに選考を進めると、内定の段階でずれが表に出て、そこから条件を詰めても間に合わないことがあります。
姫路・大阪・東京に拠点を持ち、全国チェーン店の看板工事を手がける会社では、候補者の希望年収と会社の提示額が50万〜100万円ずれていて、書類が通ったあとの辞退につながっています。
求人票の年収の幅が広すぎて、読みにくい会社もあります。東京23区で施工管理を育てている会社は、経験者の年収を500万〜1,000万円と広く書いていて、候補者が自分の位置を判断しにくくなっています。
上限は会社の都合で動き、書き方もそろっていません。面接では「自分の資格と経験なら、どの等級で、いくらで入るか」を聞き、希望の下限は最初の面談で伝えてください。
年収を少し下げて、働き方を取る
逆の道もあります。年収を少し下げて、時間を取り戻す道です。
東京23区で施工管理を育てている先ほどの会社は、残業が月10時間以下です。埼玉・群馬の会社のように、残業がほぼない代わりに、年収を全体に低めにしているところもあります。
統計でも、10〜99人の会社は年収が低い代わりに、建築の月の残業は10時間でした。年収と時間は、ある程度まで交換できます。
年収を下げる前に、いまの残業や休みの少なさが移った先でも続くものかを確かめておくと、どこまで下げてよいかを決めやすくなります。確かめ方は施工管理がきついのは会社か職種か。辞める前の見極め方にまとめています。
まとめ
施工管理の平均年収は、令和7年の国の統計で建築技術者が約679万円、土木技術者が約625万円です。この平均は、年代と会社の規模で大きく動きます。比べる相手は、自分の年代と会社の規模の行です。
- 建築の30〜34歳なら約636万円、10〜99人の会社なら約585万円が、自分と比べる目安になる
- 求人票の月給の下限は入口の金額で、賞与は入っていない。下限だけで施工管理の給与が安いと判断しない
- 移った先の年収を決めるのは資格と任されてきた現場の規模。面接では、自分がどの等級でいくらで入るかを聞く
- 年収を下げて時間を取る道を選ぶなら、残業時間と休みの取り方まで確かめる
自分の年収の位置が分かったら、同じ工種で、働きたい地域の求人の金額を並べてみてください。KENSETSU-Xには建設業の求人が3万9千件以上載っていて(2026年9月18日時点)、工種と地域で絞り込めます。会員登録で資格と経験を登録しておくと、それを見た企業からスカウトが届き、自分がいくらで声をかけられるかも分かります。
よくある質問
Q. 1級を取ったら、年収はすぐに上がりますか
A. 資格手当がある会社なら手当の分は上がりますが、年収が大きく動くのは等級や任される現場が変わってからです。資格手当の額は会社によって違います。等級制の会社では、資格が上の等級に上がる条件になっていて、合格しても昇格の時期を待つことがあります。合格したら、手当がいつから付くかと、等級の見直しがいつあるかを会社に確かめてください。
Q. 転職の面接で、希望年収はいつ伝えればいいですか
A. 早いほうが進めやすくなります。最初の面談か応募の時点で、希望の下限を伝えてください。本文で紹介した看板工事の会社のように、希望と提示額のずれが書類通過後に分かり、辞退になる例があります。伝えるときは、いまの年収と希望の下限、その理由になる資格と経験した工事の規模をそろえます。理由が添えてあれば、会社は等級をどこに当てるかを検討できます。
Q. 電気工事施工管理の年収は、建築や土木より低いのですか
A. **統計からは比べられません。**国の統計に、電気工事の施工管理だけの年収が出ていないためです。KENSETSU-Xの掲載求人では、電気工事施工管理の月給は下限の中央値が25.0万円、上限の中央値が37.0万円で、上限は建築より低く書かれています。一方で年収レンジの中央値は450万〜840万円で、上限は建築と同じです。月給と年収レンジはもとになる求人が違うので、どちらか一方だけで判断せず、応募する求人の等級と手当まで確かめてください。
出典
- 厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第1表(職種・性別、産業計)
- 厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第5表(職種・年齢階級別、産業計)
- 厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況
- 厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第1表(職種・性別、産業計)
- 労働施策総合推進法第9条(募集・採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保)
- KENSETSU-X 掲載求人の集計(2026年9月18日時点。施工管理5工種の月給が書かれていた求人と、年収のレンジが書かれていた求人)
この記事の監修者

高谷 匠
TAKATANI TAKUMI
高谷 匠
TAKATANI TAKUMI
TEAM-X株式会社 取締役COO/一般社団法人建設技能者転職支援協会 代表理事
新卒でリクルートに入社し、採用コンサルティング会社HeaRのCOO、アイ・グリッド・ソリューションズのEV事業責任者を経て、2025年12月にTEAM-Xへ参画。会社全体の事業戦略と組織構築を統括している。
- 厚生労働大臣許可「建設業務有料職業紹介事業」(許可番号 27-ケ-30001。制度創設から約20年で全国4団体、近畿の団体としては初)を運営する一般社団法人建設技能者転職支援協会の代表理事
- TEAM-X株式会社 取締役COOとして、施工管理・職人の人材紹介から採用コンサルティング・RPOまでの事業戦略と組織構築を統括
- 新卒でリクルートに入社後、採用コンサルティング会社HeaRのCOO、アイ・グリッド・ソリューションズのEV事業責任者を歴任
この記事の内容と数字は監修者が確認しています。書き方と更新のルールは編集方針に書いています。
