この記事でわかること
- 50代の施工管理は56歳でも61歳・65歳でも入社が決まっている。一方で55歳以上は通りにくいと話す会社もある
- 年齢の目安を定年から逆算している会社がいくつもある。応募前に定年と定年後の雇用形態を確かめる
- 50代の経歴で主に見られるのは1級、扱った工事の規模と構造、若手に教えてきた経験
転勤や長期出張がまだ続く。役職定年が見えてきた。いまの現場の回し方を、あと10年続けられるとは思えない。施工管理の転職を50代で考え始める理由は、人によって違います。
この記事は、そうやって「50代でまだ間に合うのか」で手が止まっている施工管理の方に向けて書いています。50代の施工管理を採っている会社はあります。ただ、採用担当が気にする年齢の目安は会社ごとに違い、定年から逆算して目安を置いている会社がいくつもあります。
調べると「50代でも需要はある」という記事と、「50代は厳しい」という話が両方出てきます。採用担当から直接聞いた話でも、56歳に内定を出した大手ゼネコンがある一方で、55歳以上は通りにくいと話す会社がありました。会社によって答えが違います。
この記事では、50代で入社が決まった例、年齢の目安と定年の関係、会社が50代の経歴で見ている主な点、地元で探せる求人の件数を、直接聞いた話とKENSETSU-Xの掲載求人の集計で整理しました。
50代を採る会社はある。ただし年齢の目安と経験の合い方で分かれる
入社が決まった50代の例と、通りにくいと言われる年齢の話を並べます。結果を分けているのは、会社が置いている年齢の目安と、経験が仕事に合うかの2つでした。
建設業で働く人の3人に1人以上が55歳以上
建設業で働く人のうち55歳以上は36.7%で、全産業の32.4%より高くなっています(2024年時点、国土交通白書2025)。
TEAM-Xに転職の相談で登録している人のうち、50代は約26%です(TEAM-Xの登録者の構成、社内集計)。36.7%は建設業で働く人に対する55歳以上の割合で、26%は転職を考えて登録した人に対する50代の割合です。数えている対象が違うので比べることはできませんが、転職を考えて動いている50代は少なくありません。
56歳、61歳、65歳で入社が決まった例
全国で建築・土木・設備の工事を手がけ、風力発電の工事にも取り組む大手ゼネコンでは、最終面接で56歳の施工管理に内定が出ました。勤めた会社は2社で、そのうち1社、大阪の土木系の会社で長く現場を経験してきた人です。採用担当は、50代半ばまでなら普通に採用していると話していました。
関東でRC造の建物を手がけるグループ企業は、1級建築施工管理技士を必須にしたうえで、61歳と65歳の入社実績があります。東京・大阪・名古屋・福岡でRC造のマンションを手がける会社では、所長経験のある63歳の方が、嘱託の枠で一次面接まで進んでいました。
若手を採りたいのに、決まるのは40代後半から50代という会社もあります。新宿・名古屋・大阪で木造アパートの建築を手がける大手グループの工務店がその例で、ある程度の技術を持った層ほど決まりやすいと聞きました。30代から40代前半の経験者はどの会社も欲しがっていて、転職市場に出てくる数が少ないことも背景にあります。
50代を主に探している仕事がある
会社や工事の種類によっては、50代のほうを主に探しています。
東京23区を中心とした1都3県と京阪神で内装工事を手がける会社は、内装の施工管理では40代後半から50代を主に求めています。資格は問わず、内装施工の経験を見ます。管理職ではなく、現場を担当する立場で採る前提です。
特定のエリアでリフォームとモデルルームの木造工事を手がける不動産系の会社は、あえて50代に絞って探しています。大規模な新築でキャリアを積みたい若手とは仕事の中身が合わず、採っても定着しなかったからです。採用担当が話していた目安は60歳までです。求人名は同じ施工管理でも、新築の大型現場とは仕事の中身が違うことは知っておいてください。
55歳以上は通りにくい会社と、50代にだけ1級を求める会社
相模原・町田周辺で小規模な修繕工事を手がける建築会社は、55歳以上は通りにくいと話していました。採用担当が想定しているのは40代前半までです。千葉で建築と土木を手がける会社の採用担当は、50代には経験年数に加えて1級を求めると話していて、どの年代よりも求める水準が高くなっています。
同じ50代でも、通りやすい会社と通りにくい会社があります。その差がどこから来るのかを、次の章で見ます。
採用担当の年齢の目安は、定年の数年前に置かれやすい。応募前に定年を確かめる
前の章で見た「何歳まで」の違いは、会社の好みだけで決まっているわけでもありません。年齢の目安の理由を聞くと、定年から逆算している会社がいくつもありました。
定年60歳なら50代前半〜55歳、定年68歳なら65歳が目安
4社の定年と、採用担当が話していた年齢の目安を並べます。
| 会社 | 定年 | 採用担当が話していた目安 |
|---|---|---|
| 東京23区の設備会社 | 60歳 | 55歳程度まで |
| ビル保守とリニューアル工事の会社(全国6拠点) | 60歳 | 正社員は1級保持で50〜53歳程度まで |
| 木造アパートを建てる大手グループの工務店 | 65歳 | 50代後半まで |
| 大規模修繕とリニューアル工事の会社 | 68歳 | 65歳以下 |
どの会社も、入社してから定年まで何年働いてもらえるかを気にしていました。工務店は定年が65歳なので、50代後半で入ってもあと5年は働ける、という考え方でした。表は、定年60歳なら50代前半〜55歳、定年65歳なら50代後半、定年68歳なら65歳と読めます。
自分の年齢から見ると、定年までの残りが数年ある会社のほうが、採用担当の目安に入りやすくなります。たとえば定年が60歳の会社に57歳で応募すると、経歴が合っていても通りにくいことがあります。
なお、募集や採用で年齢を問わないことは法律上の原則で(労働施策総合推進法第9条)、求人票に年齢の上限を書けるのは、定年の年齢を上限に「◯歳未満」と募集する場合(期間の定めのない雇用に限る)などに限られます。目安より上の年齢でも、応募はできます。定年が求人票に見当たらなければ、応募の前に問い合わせてかまいません。
定年後の扱いは、契約社員への切り替えから嘱託での所長採用まで分かれる
たとえば55歳で入って定年が60歳なら、正社員として働けるのは5年です。そのあとの扱いも会社によって違います。
会社には65歳までの雇用を確保する義務があります(高年齢者雇用安定法)。定年が65歳より前の会社は、定年をなくすか、定年を65歳まで引き上げるか、65歳まで雇い続ける制度を入れるかのどれかを選びます。雇い続ける制度は、2025年4月1日からは希望者全員が対象です。定年そのものを65歳に上げる義務ではありません。
ビル保守とリニューアル工事の会社は、定年の60歳以降を契約社員にしています。RC造のマンションを手がける会社は、所長経験のある人を1年ごとの嘱託契約で採っていて、年収は大きくは下げないと話していました。
契約社員から始まる入り方もあります。先ほどの大手ゼネコンは、1級を持っていても自社の工事との相性が低い人には、1年更新の契約社員から始めることを打診する場合があります。全国転勤のある総合職へ切り替える前提での提案です。
応募の前に聞いておきたいのは、定年の年齢と、定年後の雇用形態と、そのときに任される仕事です。
電話かLINEで30分。費用はかかりません。 会員登録をしておくと、条件に合う求人が届きます。
50代の経歴で見られるのは、1級、工事の規模と構造、若手を育てた経験
定年までの年数が合ったあとは、経歴の中身で判断されます。聞いた話を並べると、見られている点は主に3つです。1級、扱った工事の規模と構造、若手に教えてきた経験です。
1級がなければ、扱った工事の規模で判断される
1級は50代でも強い材料です。最初の章で触れた千葉の会社のように、50代には1級を求めると話していた会社もあります。
1級がない場合に見られるのは、扱ってきた工事の規模です。大手ゼネコンでは、1級がなくても最低5億円以上、できれば数十億円規模の工事を経験していれば選考に進めます。数千万円規模の工事だけの経歴は対象外でした。
規模と並んで、構造も見られます。5章で触れるように、RC造の経験と1級がそろうと年収の上限を引き上げる会社がある一方、木造アパートの工務店では、RC造だけの経歴だと希望年収と給与の水準が合わないことがあります。書類には年数より、どの構造の、どの規模の工事を、どの立場で担当したかを書いておくと伝わります。工事1件ごとの書き方は、施工管理の職務経歴書の書き方と工事経歴の見本を参考にしてください。
若手に教えた経験を求める会社がある
話を聞いた会社のなかには、50代に現場を回す力と同時に、若手を育てる役を期待している会社がありました。
大規模修繕とリニューアル工事を手がける会社は、修繕の経験に加えて、30代の若手社員に知識を引き継げる指導力を要件にしています。東京23区の設備会社は、ベテランと若手を組ませて現場を担当させる方針で、若手を育てる受け皿としてベテランを先に採っています。
面接の前に、これまで何人の若手を、どの工事で、どこまで任せられるようになるまで見てきたかを書き出しておくと、具体的に話せます。
前の会社と同じやり方を求めない
ほかに、1社の例ですが、東海4県で住宅と不動産の事業を手がけるグループでは、ベテランの採否を年齢より、変化に合わせられるかどうかで判断しています。組織の仕組みを走りながら整えている会社で、前の会社と同じ働き方ができる職場を求める人は合わないそうです。
転職の回数については、木造アパートの工務店が、50代で5〜6社の経験そのものは問題にせず、直近で短い転職が続いているかどうかを見ると話していました。
KENSETSU-Xに載っている施工管理の求人は、県によって100件台から1,000件台
経歴の中身が見えたら、次は応募先の数です。家族や住宅ローンの事情で引っ越せない場合、全国に求人がいくらあっても、通える範囲になければ選べません。
通える範囲の求人は、東京と和歌山で10倍以上の差がある
施工管理が含まれる建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は5.65倍ですが(2026年3月、常用でパートを含む。厚生労働省「一般職業紹介状況」)、これは全国・全年齢の値で、通える範囲に何件あるかは別に数える必要があります。KENSETSU-Xの掲載求人のうち、施工管理系の求人は12,779件ありました(2026年9月18日時点)。都道府県ごとの件数の一部を並べます。
| 都道府県 | 施工管理系の掲載求人 |
|---|---|
| 東京都 | 1,281件 |
| 神奈川県 | 753件 |
| 大阪府 | 727件 |
| 愛知県 | 715件 |
| 埼玉県 | 528件 |
| 福岡県 | 516件 |
| 広島県 | 344件 |
| 宮城県 | 342件 |
| 高知県 | 118件 |
| 和歌山県 | 102件 |
東京なら1,000件を超える求人が並ぶ一方、高知や和歌山では100件台です。同じ50代でも、住んでいる県によって比べられる求人の数がこれだけ違います。地元の件数が少ない県では、定年や工事の種類で応募先を絞り込む前に、隣の県まで通えるかどうかも考えておくと選択肢が増えます。
地元に住んでいることが有利に働く会社もあります。先ほどのリフォームの会社は、書類選考で住んでいる場所を重視しています。業務には自分の車を使い、会社が借り上げて維持費を負担する形です。通える範囲の会社に絞ることは、50代にとって不利な条件とは限りません。
年収はレンジの中身を見る。前の会社と工事の種類が合うかで上下する
年収がレンジの上に来るか下に来るかは、経験と会社の工事の組み合わせで大きく変わります。
求人票の年収レンジは上限より中身を見る
KENSETSU-Xの掲載求人のうち、年収レンジが書かれている担当者サポートつき求人を見ると、建築施工管理(494件)は年収レンジの下限の中央値が500万円、上限の中央値が840万円でした。土木施工管理(124件)は500万円と740万円、電気工事施工管理(89件)は450万円と840万円です(2026年9月18日時点)。
これは求人票に書かれた金額で、入社した人の実績ではありません。木造アパートの工務店では、850万円以上は管理職の採用枠でした。レンジの上限は、こうした枠の金額であることがあります。上限が誰を想定した金額なのかを確かめる質問は、求人票の給与欄の読み方で欄ごとに説明しています。自分の年収がレンジのどこに来るかは、経歴と、その会社の工事の種類が合うかで変わります。
経験が合えば、年収の上限を引き上げる会社もある
RC造の経験と1級がそろうと、年収が1,000万円を超える求人も出てきます。関東でRC造を手がけるグループ企業は、想定年収が600万〜800万円では力のある人を取り逃がすとして、求人票の上限を1,000万円程度に上げることを検討していました。求人票もシニア向けと即戦力向けに分けて出す考えです。
経験の種類が違うと、希望額と合わない
木造アパートを建てる大手グループの工務店では、RC造だけを経験してきた1級保持者の希望年収が700万円台後半から800万円近くになり、木造アパートの給与水準と合わないことがあると聞きました。この会社の求人票の上限は1,100万円ですが、多いのは700万円前後です。
年収のほかに、生活の条件で選ぶ方法もあります。リフォームの会社は年収500万〜800万円で、掲載求人の年収レンジの中央値とほぼ同じ幅です。転勤や長期出張がなく、残業は月20〜30時間程度です。その代わり、エリアに住んでいて業務に使える車を持っていることが事実上の条件になります。
年収を優先するか、通勤と休みを優先するか。どちらを選んでも転職は成り立っています。先に決めておくと、応募先が絞れます。
まとめ
採用の対象に50代の施工管理を入れている会社はあります。56歳でも61歳・65歳でも入社が決まった例がある一方で、55歳以上は通りにくいと話す会社もあり、定年から逆算して年齢の目安を置いている会社がいくつもあります。応募の前に定年を確かめておくと、入社してから何年働けるかと、会社が気にしそうな点の見当がつきます。
応募の前にやることは3つです。
- 会社の定年と、定年後の雇用形態を確かめる
- これまでの工事を、構造・規模・立場・育てた若手の人数で書き出す
- 通える範囲の求人を並べ、工事の種類が自分の経験と合う会社を選ぶ
50代の転職は、次の会社で定年を迎える人も多く、やり直しがききにくくなります。転勤や役職定年のように会社を移れば変わる負担と、どの会社の施工管理にもついて回る負担を先に分けておくと、最後の職場として選ぶ会社を間違えにくくなります。分け方は施工管理がきついのは会社か職種か。辞める前の見極め方にまとめました。
KENSETSU-Xには建設業の求人だけが全国分載っていて、通える都道府県と工種で絞り込めます。気になる会社が見つかったら、まず定年と定年後の扱いを確かめてください。会員登録をしておくと、経歴を見た企業からスカウトが届くこともあります。
よくある質問
Q. 1級を持っていない50代でも施工管理で転職できますか
A. できる会社はありますが、入口は狭くなります。大手ゼネコンには、1級がなくても5億円以上の工事を扱ってきた経験があれば選考に進める会社があり、内装やリフォームの会社には資格を必須にしていないところもあります。反対に、50代には1級を求めると話していた会社もあります。応募する前に、自分が扱った工事の規模と構造を書き出してから会社を選ぶと、書類での見送りが減ります。
Q. 60歳を過ぎてからでも転職できますか
A. 決まった例はあります。関東でRC造を手がける会社は、61歳と65歳の方を採用しています。一方で、全国6拠点で非住宅の改修を専門にする会社の採用担当は、原則65歳未満を目安にしていて、65歳を超えると働いてもらえるのは5年程度なので厳しい、と話していました。話を聞いた会社では、60代の採用は1級や所長経験がそろっていることが前提でした。定年の遅い会社や、定年後の雇用を用意している会社に絞って探すことになります。
Q. 前の会社で所長だった場合、所長として入れますか
A. 会社によります。大手ゼネコンでは、入社していきなり工事所長に就くのはよほどの経験者に限られ、年齢に応じて課長や主任のクラスで入る形はある、と聞きました。一方で、所長経験そのものを求めている会社もあります。RC造マンションの会社は、所長経験のある人を年収800万〜1,100万円の所長クラスとして募集していて、シニアを嘱託で採る場合も所長経験を条件にしていました。役職と年収のどちらを優先するかを決めてから応募すると、面接で話がぶれません。
出典
- 国土交通省 国土交通白書2025(建設業就業者の年齢構成)
- 厚生労働省 一般職業紹介状況(2026年3月分)
- 労働施策総合推進法第9条
- 労働施策総合推進法施行規則第1条の3
- 厚生労働省 年齢にかかわりない募集・採用のために(例外事由と定年の例)
- 高年齢者雇用安定法第8条・第9条
- 厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正(65歳までの雇用確保措置)
- KENSETSU-X 掲載求人の集計(2026年9月18日時点。施工管理系の掲載求人12,779件の都道府県別件数、年収レンジが書かれている担当者サポートつき求人のうち建築494件・土木124件・電気工事89件)
- TEAM-X 登録者の構成(社内集計)
この記事の監修者

高谷 匠
TAKATANI TAKUMI
高谷 匠
TAKATANI TAKUMI
TEAM-X株式会社 取締役COO/一般社団法人建設技能者転職支援協会 代表理事
新卒でリクルートに入社し、採用コンサルティング会社HeaRのCOO、アイ・グリッド・ソリューションズのEV事業責任者を経て、2025年12月にTEAM-Xへ参画。会社全体の事業戦略と組織構築を統括している。
- 厚生労働大臣許可「建設業務有料職業紹介事業」(許可番号 27-ケ-30001。制度創設から約20年で全国4団体、近畿の団体としては初)を運営する一般社団法人建設技能者転職支援協会の代表理事
- TEAM-X株式会社 取締役COOとして、施工管理・職人の人材紹介から採用コンサルティング・RPOまでの事業戦略と組織構築を統括
- 新卒でリクルートに入社後、採用コンサルティング会社HeaRのCOO、アイ・グリッド・ソリューションズのEV事業責任者を歴任
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